続・硫黄島の砂 2011年3月11日 at 12:45 AM
硫黄島に駐留する自衛隊が島を離れる際に、唯一持ち出しを許されているものが激辛の硫黄島とうがらし(キダチトウガラシ)。暗黙ルールとして例外的に持ち出しが許されているのはこれだけ。
唐辛子以外の動植物はもちろんのこと、砂粒さえも持ち帰ってはいけないとされる。
命令として砂や石を持ち帰るなという指示があり、離島の際には靴の砂を落としてから輸送機に乗り込むように指示が出される場合もある。
戦時中に米軍が持ち込んだアカカミアリなどの外来種を本土に上陸させないという意味合いも含むとも思われるが、“砂には人骨が混ざっている可能性があり、持ち帰ると祟りがあるから”というのが持ち出し禁止の真相だ。
島にはかなり多くの方の遺骨が残っていて、風化によって細かくなった骨は砂と見分けが付かなくなっている。
一掬いの砂の中に複数人の人骨が混じっている可能性は十分にありえるのである。
そして、骨を所有するということは所有者が供養の責任を請け負うという、日本人の意識下に流れるルールが適用されることになる。
砂を所有することで起こる不思議な現象は祟りという言葉で集約されているが、血縁がなくとも骨を拾ったという縁故によって所有者の前には供養を求めて霊が現れるということだろう。
記念品として持ち帰るにはあまりに重い責任が詰まっているので、命令として持ち帰るのを禁止するに至っている。
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