とある婦人が指輪を購入する目的で某有名宝飾店を訪れた。
女性店員に「よく似合います」と指にはめられたのが天然物だという黒蝶真珠の指輪であった。通常の真珠よりもかなり値が張る品物である。
婦人は真珠が持つ複雑な色合いに魅せられた。
指には高級指輪が光り、店の対応はセレブのような扱い・・・まったくは悪い気などしない。
「どうしようかしら・・・」婦人は購入を考えはじめた。
そこからは店員の猛攻が始まり、指輪の購入を押しに押された。正気に戻ると、さすがにこのような高級品を買う気にはなれず、婦人は「お金がない」という断った。
その言葉に対し、
「問題ありません」と半ば強引にカードローンを組まされて、勢いに押されて結局購入してしまったのだ。
元々こんなに高い指輪を買う気はまったくなく、懐にも余裕はない。
帰宅後、夫に天然物の黒蝶真珠指輪を購入したことを話すと、激怒して「返品しろ!!」と婦人は怒鳴られてしまった。
翌日、返品するため購入店に行くが
「返品は受け付けられません」の一点張りであった。
「ではお金は払いません」と強く出た婦人であるが、数日して”その筋の人”と思しき人物から電話があり、「金は必ず払え」と婦人の自宅から夫の職場にまで恫喝に等しい電話が掛って来た。
こうなっては「夫の信用を失ってしまう」ということで泣き寝入ってしまい、結局カードローンでの購入を決めてしまった。。。
では、実際にこの黒真珠はどれほどの価値があるのか?有名店ということで当初は指輪の価値を疑わなかったが、店の酷い対応で品物の価値に対する疑いが生じていた。
これを確かめるために知人の紹介で、信用できるという貴金属店を訪れた。
事の事情は話さずに、指輪を店主に見せるなり
「着色ですね」という信じられない言葉を聞かされた。
真偽を問うために黒真珠を購入した有名企業に電話をすると、当初は天然物だと強く主張した。
証拠はあるのか?と怒鳴りつけて来たので、これはプロの鑑定結果だと言うと、
「どこで鑑定したのか?」をしつこく聞かれた。
店主からは店の名前を出して良いという了承は得ていたため、その貴金属店の名を出すとあっさり
「着色です」と宝飾企業は白状した。
そこからは貴金属店の店主が対応し、返品ができないならば、ある程度の誠意は見せろという意味でせめて鑑定書くらいは本物を付けろと要求したところ、
「分かりました」と企業は要求を飲んだ。
そして婦人の元に鑑定書が送られてきたのだが、その出来は酷いもので、業者が一目で偽物と分かる子供だましとも言えるほどの体の悪い物であった。
数百円の価値しかない物をデザイン料とブランド力だけ百倍近い値で売りつけるのが、まかり通る世界だと店主は言う。購入する側も本当の価値が分からないといけない、そう婦人が言われた。
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都市伝説
by
怖いななしさん /
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